肥料は大きく分けて、油粕、魚粕、米ぬかなどの有機質肥料と、硫安、過リン酸石灰、硫酸カリなどの無機質肥料(化学肥料)がある。肥料分は水に溶けてイオンの形となり、根に吸収される。有機質肥料は土中の微生物によって、一度分解されて無機化した後にイオンになるので、効果がゆっくり現れる。
無機質肥料は、微生物による分解を経ずにイオン化することができるので、効き目がすぐに表れる。無機質肥料には、植物が特に必要とする窒素、リン酸、カリの3要素のうち1種だけを含む単肥と、2種以上を含む化成肥料がある。この他、複数の肥料を混ぜた配合肥料や潅水と合わせて用いる各種成分を含んだ液肥などがある。
家庭菜園用としては、一般的に有機質の油粕と、各種成分を含んだ化成肥料を併せて用いるのが好適と思われる。化成肥料は、一般には窒素、リン酸、カリの各成分含量の等しい10・10・10内外のものが使いやすい。
肥料の種類と成分比
分類 | 肥料名 | 酸度 | 遅速性 | 成分(%) | 用途 | |||
窒素 | リン酸 | カリ | ||||||
無機質肥料 | 窒素肥料 | 硫安 | 酸性 | 速 | 21 | ー | ー | 元肥・追肥 |
尿素 | 中性 | 速 | 46 | ー | ー | 追肥 | ||
石灰窒素 | アルカリ性 | 中 | 21 | ー | ー | 元肥 | ||
硝安 | 酸性 | 速 | 33 | ー | ー | 追肥 | ||
リン酸肥料 | 過リン酸石灰 | 酸性 | 速 | ー | 17 | ー | 元肥・追肥 | |
熔成リン肥 | アルカリ性 | 遅 | ー | 20 | ー | 元肥 | ||
カリ肥料 | 硫酸カリ | 酸性 | 速 | ー | ー | 50 | 元肥・追肥 | |
塩化カリ | 酸性 | 速 | ー | ー | 50 | 元肥・追肥 | ||
草木灰 | アルカリ性 | 遅 | ー | 3 | 6 | 元肥・追肥 | ||
石灰質肥料 | 苦土石灰 | アルカリ性 | 遅 | ー | ー | ー | 元肥 | |
炭酸石灰 | アルカリ性 | 遅 | ー | ー | ー | 元肥 | ||
化成肥料 | 中~酸性 | 速 | 各種 | 元肥・追肥 | ||||
有機無機 | 複合肥料 | 固形肥料 | 中~酸性 | やや速 | 6 | 4 | 3 | 元肥・追肥 |
配合肥料 | 酸~中性 | 速 | 6 | 6 | 4 | 元肥・追肥 | ||
有機質肥料 | 油粕 | 中性 | 遅 | 5 | 2 | 1 | 元肥・追肥 | |
鶏ふん | 中性 | やや速 | 4 | 2 | 1 | 元肥・追肥 | ||
米ぬか | 中性 | 遅 | 2 | 4 | 1 | 元肥 | ||
骨粉 | 中性 | 遅 | 4 | 20 | 1 | 元肥 | ||
魚粕 | 中性 | 遅 | 8 | 3 | 1 | 元肥・追肥 | ||
牛ふん | 中性 | 遅 | 0.3 | 0.2 | 0.1 | 元肥 | ||
堆肥 | 中性 | 遅 | 1 | 0.5 | 1 | 元肥 |
有機質肥料
(長所)・野菜の生育に必要な総合的な養分を含み、ゆっくり効果が現れ長く続く
・土壌中の微生物の種類が増え、団粒形成を促進し、土の物理性を改善する
(短所) 肥料成分量が、無機質肥料(化成肥料)ほど明確ではなく、土壌微生物にぶんかいされる過程でガスや熱が出るため、施肥後、
作付けまでに2週間ほどの期間を開ける必要がある。
無機質肥料
(長所)・成分が明確なので、施肥量の調節がしやすく、においが少ない
・施肥後、すぐに効果が出るものから、ゆっくり効果が出るものまで、種類が豊富
(短所) 少量でも効くので、与えすぎると肥やけを起こしやすく、土壌中の有機物や、有機物を餌とする土壌微生物が減ってしまう